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2022.01.28
第6のステップ ブランドの中身は

 みなさん、こんにちは。

これまで第1のステップとして、まず自分個人で「根っこ」を調べる方法について、第2のステップとして、取引先や需要者の目から見た自社や商品等の感じ方、見え方を調べる方法について、第3のステップとして、「情報の整理」について、第4のステップとして「デザイナーさんとの付き合い方」、第5のステップとして「試行錯誤で磨き上げるストーリー」についてお話ししてきました。

 

いよいよ最終回です。第6のステップとして、「ブランドの中身は」についてお話してみたいと思います。

 

1.ブランディングで会社が元気に

 第5のステップで述べたように、ブランディングは商品のコンセプトや会社のビジョンを見える形にし、伝え、知ってもらうための活動です。例えば、従業員にとって、自社の技術がブランドとして認知され、世の中の役に立っているとしたら、どんなに誇らしいことでしょうか。その技術ブランドによって、会社が向かう未来が明確に示されたなら、従業員は安心して働くこともでき、定着率も向上するでしょう。さらには、新規の採用活動もしやすくなるでしょう。ブランディングとは、広告的なイメージ戦略ではありません。企業の根っこ、アイデンティティに根差した、実直なコミュニケーション活動なのです。私は、ブランディングによって、会社は元気になると信じています。

 

2.変わるもの、変わらないもの

 ブランディングは、永続的な取り組みです。時には会社のビジョンの変化、事業環境の変化によって、ロゴのリニューアルや、コミュニケーションの手法の変化など、変わりゆく部分もあるでしょう。第1、第2のステップでお話したように、対象物の「対象物の魅力や価値の源泉となる『根っこ』」を中心軸としてブランディングすれば、おかしな方向にブレたりしません。

  

3.専門家を信頼して相談しましょう

 本屋に行けばブランディング関連の書籍が多数あります。これらを隅々まで読んで、ブランドの理論を叩き込んでからでなければ、ブランド活動はできないのでしょうか。答えは、ノーです。ブランドの研究者になるなら別ですが、細かい用語を覚える必要はありません。そのような時間は、むしろ自社の強みを把握したり、コンセプトをブラッシュアップしたりする時間に当ててください。そして、デザインの専門的な部分は、信頼するデザイナーさんに、商標や意匠に関する相談は弁理士に、といった具合にそれぞれの専門家に相談するのが一番だと思います。

 

4.最後は人

 ブランディングの対象物は、商品や企業であっても、その中にあるのは人です。従業員の一人一人が、会社を真に理解してブランドを体現する存在になってもらいたい、これが経営者の皆様の願いだと思います。よく「自分ごと」にして考える、という表現が使われますが、私個人の経験から言えば、従業員にとって「自分ごと」にせよ、というのはかなり難易度が高いと思います(あまりに立場が違いすぎます)。むしろ、経営者の想いに「共感」してもらうこと、から始めてみるのはいかがでしょうか。どういう想いで経営しているか、日々のコミュニケーション、仕事への取組み方を通じて、従業員に伝わると思います。

以上、6回シリーズで、連載コラムをお届けしてきました。私個人の想いに基づく内容でしたが、皆さまのブランディングの取組に、ほんの少しでも役立つことがあるならばこれ以上の喜びはありません。

ここまでお読みくださりありがとうございました。

おわり

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